信じていたものに裏切られる、ということがたまにある。
そんなとき人は落胆し、失望し、生きる希望を失い、ときにはランニングをするエネルギーを奪われてしまうこともある。
しかしよくよく考えてみると、それは本当に心から「信じていた」訳ではなく、ただ単にこちらの一方的な「思い込み」だっただけ、というケースもままある。つまりこちらの勘違いだっただけであり、実際には裏切られた訳ではないのだ。真実や全体像に目を向けず、一部だけを切り取って理解しようとするからそのような誤解が生じる。
それでは、いつでも真実を知ることが本当に正しい事なのだろうか?
ときには真実を知らない方が幸せなこともある。「思い込み」は時としてあながち馬鹿に出来ないほどの力を生み出すことがあるからだ。
注:これはただのマラソンブログですw
本日は土曜日。
平日よりも朝の時間を長く確保できるため、普段よりは距離を稼いでおきたいところ。というのも、8月は450kmを踏みたいと目標設定していたからだ。
これまで月間走行距離は特段気にせずやってきた。ただ距離を走ってもそれはただ数字を増やしているだけで、質を伴わなければ意味がないと思っていたからだ。しかしまだぼくレベルのランナーにとっては「距離を踏む」という事も大事な積み重ねだと最近は感じていた。
これまでの走行距離は月によってばらつきがあるものの、だいたい月間300~400km程度。450kmというのは8月としては多い方だ。
しかし昨日までの走行距離は369km。8月は今日を含め残り4日間。月間450kmを達成するにはこの4日間で81kmを走る必要がある。平均すると1日20kmほど。だが平日である8/30(月)と31(火)に1日20km走るのは厳しい。頑張っても10~15kmが関の山だろう。となると、この土日で30kmぐらいずつは稼いでおく必要がある。
今日のメニューはジョグをメインとしたトータル30kmを予定。昨日ポイント練習をしているため、あまり強度の高い練習は無理だろうと思っていた。なるべく朝の涼しい時間帯に済ませておきたい。
大井川沿いにあるマラソンコース「リバティ」へ移動し、アップを済ませる。

リバティ3km地点を発着とし、ここに補給用のペットボトルなどを置いておく。まずはここから河口側にあるリバティ「起点」へ向かい、往復6kmのペース走。ペースは4’15″/kmくらいを想定。

結果は、25分12秒(ave.4’12″/km)。今日はペースを上げる日じゃないので良しとする。
戻ってきたリバティ3km地点で水分を補給し、ここからは完全にゆったりジョグ。飽きないように今度は上流側へ向かうことにする。ペースは5’30″~6’00″/kmくらいでいいや、と思ってスタート。
走り出してみると気持ち良く身体を動かせるペースが5’15″/kmくらいだったので、そのままのペースで走り続ける。
しかし今日は暑さが尋常じゃなかった。朝7時の時点で日射しがかなり強く、首筋や肩を焦がしていく。普段からそんなに気にしてはいないものの、「顔だけじゃなく肩にも日焼け止め塗っときゃ良かったなー」と思うが時既に遅し。これは帰宅後にシャワーを浴びていて気付いたことだが、首や肩がくっきりとランシャツ焼けしていた。
コースを何度か往復すればいいや、と思っていたため、今日はランニング用のザックを背負わず、補給用の水分は3km地点に置いたままである。そのため引き返すタイミングが重要だ。あまり遠くまで行き過ぎると水分補給が遅くなる。明日も距離を稼ぐ必要があるため、脱水だけは避けねばならぬ。
気温も高いため身体の渇きを認識し始め、そろそろ引き返そうかなー、と思っていた矢先、視界にあるものが飛び込んできた。
あれは…、もしや美女ランナーでは…?
200mほど先を走るランナーの背中が見えた。遠目であるためこの時点で顔はもちろん、年齢はおろか性別さえも分からないのだが、自分の中の何かが反応した。
亀仙流で修行した眼力がこんなところで活きてくるとは。
日射しは強くなる一方で、じりじりと首筋を焦がし続ける。給水のために引き返そうと考えていたリバティ8km地点を越え、もう少し先まで行ってみようと考え直した。
これは美女ランナーの存在とは全くの無関係であり、たまたまだったという事は申し添えておきたい。無補給であったものの、たまたまこの地点で元気になっちゃったのだと推察される。そう、たまたま。決して美女ランナーのお顔を拝見しようなどといった疚しい気持ちがあった訳ではない。
少しずつ美女ランナーの背中が近付いてくる。ウェア、背丈、髪の毛の長さなどから女性であることは間違いなさそうだ。
もちろん全く興味などないのだが。
美女ランナーを追い抜く。もちろん、抜いた途端に振り返る、などといった無粋な真似はしない。
だって全く興味などないのだから。
急に折り返すのも不自然であるため、そのまましばらく走っていき、リバティ9km地点で引き返すことにした。というか、そもそも「そろそろ給水のために引き返そうかなー」と考えていたところなのだ。引き返そうとしていた矢先、たまたま美女ランナーを追い抜いただけである。決してすれ違いざまに美女ランナーのお顔を拝見しようなどといった疚しい気持ちがあった訳ではない。←本日2回目。重要なことは何度でも言いますw
9km地点に到達し、ここで折り返す。気付かないうちに美女ランナーとは少し離れていたようだ。
ここからは方角的に太陽に向かって走ることになる。相変わらず日射しが強い。サングラスをかけていて良かった。
そうだ、我が師匠・亀仙人も言っていたじゃないか。コミックス何巻か忘れたけど。
「さいわいサングラスじゃ! 目の動きはさとられん!」

美女ランナーが少しずつ近付いてくるのが見えた。徐々にその姿が大きくなっていく。
「あ…」
夏の強い日射し。そしてコロナウィルス。ランナーはいつだって様々な脅威に晒されている。自分の身は自分で守らなければならない。
当然キャップは被るしサングラスもかけるし、バフやマスクで顔全体を覆う。それが真夏のコロナ禍における正しきランナーの姿。
そう、彼女は正装で走っていた。
無論、顔は全く拝めない。
「…別に凹んでねぇし」
さぁ、練習に集中だ!w
という事で、その後もぐだぐだとジョグを続け、本日はなんとかトータル30kmを稼ぐことに成功した。
こちらが勝手に思い込んでいただけで、決して裏切られた訳ではない。
きっと彼女は美女だったはずだ。
それが真実かどうかは重要ではない。思い込みは時として馬鹿にならないほどの力を発揮するからだ。
ただし、本日のリバティ8~9km地点にかけてのラップが4’45″/kmまで上がっていたのはそんな思い込みによる力ではなく、もちろんたまたまである。
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