2/13(日)に開催された静岡・大井川トライアルマラソンのレースレポ③となります。
ハーフを越え、いよいよ後半戦。
ここまでAve.3’42″/km。後半の出来次第ですが、2時間40分切りの目はまだある。
ここは我慢の上り区間。21~25kmは3’43″~49″。大丈夫、まだ落ちてないし、無理もしていない。自己暗示をかけるように言い聞かせます。
そして折り返し。
ここでA木さんが、「ここの下りは(スピードを)出し過ぎないように気を付けましょう」と声を掛けてくれました。そう、その通り。ここまでの展開も良好だし、慌てる必要はありません。ただ、たくさん喋るだけの余裕がなかったため返事は、「そうですね!」のみ。A木さん、塩対応ですみませんw
しかしこの下り区間に入り、なんとも言えない脚の張りを感じ始めました。箇所は左の前腿。うーむ、やはり前側かぁ。フォームには気を付けて丁寧に走っていたつもりなんですが、それでもオーバーストライドだったのか。重心よりも前で接地してしまっているのか、ブレーキの掛かるような脚運びになっていたのかもしれません。その着地衝撃の積み重ねがここに来て顕在化してきたか。
とは言え、まだ走りに影響のある程のダメージではありません。改めてブレーキを掛けないように心掛けます。25~30kmは3’38″~46″。下り区間にも関わらずペースが落ち始めているのを実感しました。ここまで共に走ってきたA木さんともうお一人とは、ここに来て3~5m程度の微妙に嫌な距離。
それでも、周回のたびに大会MCを務めるY子さんが、完全身内贔屓なマイクパフォーマンスでA木さんとぼくの名前を叫んでくれますw
それに鼓舞され、必死で少し前を行く二人を追い掛けます。
さぁ、泣いても笑ってもラスト1周。残すは12.195km。全部出し切って行こうと腹を決めます。
するとその気持ちに呼応するように盟友A木さんが振り返り、「ここが踏ん張りどころですね! 頑張りましょう!」と声を掛けてくれました。しかしここでもたくさん言葉を発する余裕もなく、「はい!」とだけ応えます。A木さん、塩対応ですみません(2度目)w
ここからの上り区間が苦しかったです。体感的にもペースががくんと落ちたのが分かりました。実際、31~35kmは3’51″~4’01″。ついに4分台のラップを叩いてしまいました。上り区間とは言えこれはメンタル的にもキツい。
左脚の前腿の張りは大きくなるばかり。思うように動かせなくなってきました。そして前を行く二人との距離は徐々に徐々に開いていき、35km過ぎの折り返しではおそらく100m以上離されていたと思います。
頭が上手く回りませんでしたが、ざっくり計算するとこの時点でぼくは2時間40分切りのボーダーライン上にいました。諦めない。絶対に諦めない。まだ可能性はあるはず。
そして前を行くA木さんは、ぼくよりもさらにその可能性は高い。ここでのスライドではこれまでのいろんな感情が溢れ、気付けばこの日一番の大声でぼくは叫んでいました。
「A木さん、ラストファイト!」
A木さんとは2年半ほど前に、月例しまだの練習会で出逢いました。ラン仲間の中でもぼくらは走力が近かったこともあり、練習でも大会でも同じ集団で走ることが多く、徐々に意識せざるを得ない存在になっていきました。マラソンをしていなかったらきっと一生巡り合うことはなかったであろう人物が、いつの間にか自分にとって大事な友人・大事なライバルとなっていました。
年末に行われたトライアルマラソンでもぼくらは二人とも撃沈しており、今回こそは絶対にリベンジをしようと誓い合っていました。
「A木さん、ラストファイト!」
苦しい表情ながらA木さんが親指を立ててくれたのが視界の隅に映りました。やれる、A木さんならきっとやれる。二人の目標だった2時間40分をきっと切れるはずだ。そう確信しました。
もちろん自分も諦めた訳ではありません。二人で一緒に2時間40分を切るんだ。
しかし気持ちとは裏腹にペースは上がりません。下り区間に入ったものの、ペースは上がるどころか落ちていきます。もはや脚が限界を迎えつつありました。
止まりたい。本気で何度もそう思いました。でもそれだけは駄目だ。弱い気持ちに鞭を打って、ギリギリのところで走り続けます。

しかし38kmを過ぎ、ついに前腿が限界を迎えました。それまで以上に、さらにがくんとペースが落ちたのが分かりました。でも止まらない、止まらないぞ。それだけは心に決めていました。
ここで、先程までA木さんと並走していた選手の背中が近付いてきていることに気が付きました。彼もここまで一緒に闘ってきた仲間です。声こそ掛けませんでしたが、心の中で「ラストまで頑張ろう!」と呟いて彼の横を通り過ぎました。
会場が近付くと、沿道でH田さん、S井さん、S藤のアニキが大声でエールを送ってくれます。また、本大会ではボランティアスタッフとして働いてくれているRさんも、「タクミくん、まだ行けるよ!」と叫んでくれます。その気持ちに応えたい、でも身体がもう動かない。そんなジレンマを抱えながら40kmを通過し、ラスト2.195km。
最後までベストを尽くそう。どんなにペースが落ちたとしても、今やれるだけのベストを。それだけを思って走り抜きました。



結果は既報の通り、2時間41分38秒のセカンドベスト。残念ながら40分切りの目標は達成出来ませんでした。
ゴール後、A木さんも2時間40分15秒と、本当に僅かにだけ届かなかったことを知りました。でも、非常に残念ではあるものの、二人とも「今日は出し切ったよね」と、どこか晴れやかな気持ちで笑い合いました。
今シーズンのフルはこれにて終了。という事で、2時間40分切りの目標は来シーズンへ持ち越しとなりました。ここからまた精進して、少しずつレベルアップしていきたいと思います!
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